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コーチング

コーチング的コミュニケーション

最近コーチングというものが注目されていますが、コーチングに代表されるコミュニケーションのスタイルは、人間関係における新しいパラダイムとして、大変動時代を生き抜く上で重要な要素になると思います。

コーチングというものが一番有名なので、ここでは総括してコーチング的コミュニケーションと呼びますが、コーチングが普及する以前から、相手の主体性を重視したコミュニケーションの取り方が様々な学派の中で生まれていました。

まずは、エリクソニアン催眠療法。

エリクソニアン催眠療法

これは、ミルトン・H・エリクソンが開発した催眠療法ですが、『天上のシンフォニー』を読まれた方は中山悟が勉強した催眠療法として覚えているかもしれません。コーチングに大きく影響を与えたというNLP(神経言語プログラミング)はリチャード・バンドラーとジョン・グリンダーという人によって開発されました。NLPを開発するにあたって彼らが参考にした3人のセラピストがいるのですが、一人がフリッツ・パールズ、もう一人がバージニア・サティア、そして3人目がミルトン・H・エリクソンだったのです。

そういう意味では、NLPに影響を与えたエリクソニアン催眠療法は間接的にコーチングにも影響を与えていることになります。

エリクソニアン催眠療法を一言で表現する時に、次の逸話が役立つでしょう。

北風と太陽の話。

ある日、北風と太陽がどちらのほうが強いのか競争することになった。ちょうどその時、コート姿の旅人が通りかかった。「よし、あの男のコートを脱がせたほうが勝ちということにしよう」と北風は言い、勝負が始まった。

まずは北風の番。北風は早速風の力を強めた。
急に風が強くなったので男はコートのボタンを留めた。
「そんなことしたって無駄だ。これでも食らえ」北風はそう言ってさらに力を込めて吹き始めた。
「まいったな。嵐だ」男は急いで近くにある電柱にしがみついた。
「無駄な抵抗はやめろ。これでどうだ」北風はビュービューとさらに強く吹いた。
北風が強く吹けば吹くほど男は柱にしっかりとしがみつき、吹き飛ばされないようにした。
北風は全身全霊の力を込めて吹きつけたが、とうとうコートを脱がすことはできなかった。

続いて太陽の番。太陽はゆっくりと照り始めた。
「ふう。なんて風だ」ようやくやんだ風を見て男は深呼吸をした。
太陽は少しずつ熱を強めていった。
「晴れたのはいいが、なんか暑くなってきたな」男はコートのボタンを外し、脱いだ。

有名なイソップ寓話なので知っている人も多いことかと思います。ミルトン・H・エリクソンの使用したコミュニケーション・スタイルを一言で言うと、太陽のような方法です。

つまり、相手が自ら変わりたくなる環境を整えることです。多くの人は相手を変えよう変えようと躍起になるのですが、変えようとすればするほど相手は抵抗し、逆に防御を強めてしまうということを経験したことのある人はいませんか? 人は誰でも他人から指示されたり、説教されることを好みません。相手の言っていることが真実で、確かに自分はそうすべきだとわかっていても、やりたくないものです。

エリクソンは、今まで多くのセラピストの門を叩いたが治らなかったというクライアントを相手にすることを得意としていました。多くの場合、セラピストとのやりとりの中で彼らに抵抗が生まれたことが原因でした。そこで、エリクソンは相手の抵抗を取り除くことをまず最初に行ったのです。

NLP

NLPは、セラピーだけでなく、教育やマネージメントの分野でもよく使われ、NLPを使ったビジネス書が多数出版され、聞いたことのある人も多いと思います。

セラピーとしてNLPを行う時の最初のステップでは、クライアントが望んでいることを確認します。つまり、次の質問をするということです。「あなたは何を望んでいるのですか?」

すると次のような答えが返ってきます。「自分の思っていることをもっと的確に表現できるようになりたい」「営業成績を上げたい」「田舎で自給自足の生活ができるようになりたい」「環境に役立つことを何かしたい」

今までのセラピーでは、「あなたの問題は何ですか?」という質問で始まったり、逆にセラピストが「あなたの問題はこうですね?」と言うことが多かったので、「あなたは何を望んでいるのですか?」と質問することは画期的でした。まず、問題よりも可能性(望んでいること)にフォーカスしていることと、セラピストがクライアントの問題を見抜きそれを指摘することから始まるのではなく、クライアントの意向を確認することから始まっていることが斬新でした。

「あなたの問題はこうですね?」という形で始まるセラピーの場合、セラピストが的確にクライアントの問題を見抜くことができればいいのですが、時として間違えることがあります。的外れだったりするのです。その場合、セッション時間がまるまる無駄になってしまうこともあります。クライアントの意向を訊くことでそうした間違いをなくすことができます。そしてもちろん、的確な指摘であっても抵抗を生んでしまいます。

クライアントの意向から始まっていることで、このテーマに取り組むことにおいての同意が取れています。抵抗というのは人から押し付けられたり、説教されたりする時に起きるのであり、自分が望んでいる状況を手に入れようとするプロセスに抵抗を示す人はあまりいません。

もちろん、クライアントが自分の問題に気づいていないということもあります。表層意識ではコミュニケーション能力を高めたいと本人が思っていても、無意識では母親との関係を修復したいと望んでいることもあり、セラピストにはそのことが見えたりすることもあります。ですので、必ずしもクライアントの意向だけを大切にすることがいいわけではありません。

ただ、そうした場合でも、解決すべき問題が複数あり、母親との関係を修復することがそのひとつであっても、今は別の問題を解決したいと思っていることもあります。クライアントの意向を確認することで、相手の意思を尊重し、ゆえに抵抗も起きにくくなります。

実は、エリクソンなどは、こうした場合、コミュニケーション能力を高めるというテーマでセラピーを行いながら、同時に母親との関係を修復するということまでをクライアントが気づかないうちに扱ってしまうこともあります。

コーチング

コーチングの場合、こうした場合はそれすらをクライアントに訊きます。「コミュニケーション能力を高めたいということですが、今の話を聞いていて私が感じたことをお伝えしてもいいですか?」
「はい」
「お母さんとの関係を修復させることが○○さんの今の状況を見て一番重要だと思うんですが」
「母との関係」
「そうです。どうしましょう。○○さんの意向通りコミュニケーション能力を高めるというテーマで行うこともできますし、お母さんとの関係を修復するというテーマで行うこともできます。どちらのほうがいいですか?」

コーチングでもNLPと同様に、クライアントが望んでいることを確認することからセッションが始まります。そして常に「それを実現させる上でどうすればいいと思いますか?」「何がそれを止めていると思いますか?」「今までそれを解決するために何か試みてみたことがありますか?」などという質問をすることによって、クライアントが自ら答えを出していくことを導きます。

多くの場合、クライアントは自らの答えを持っています。ただ、普段はそれについて十分に考える機会がないために出せないでいるだけです。また、答えを出すための的確な質問を知りません。こうしてコーチから質問を受けることによって、考える機会が生まれるのです。コーチはクライアントの思考を整理することにより、考えやすい環境を整えます。

コーチはクライアントの手助けを行いますが、主導権は常にクライアントが握っています。そういう意味では、セラピストからの介入がより多く入るNLPよりも、さらにクライアント主体のやり方であると言えます。

もちろん、すべてクライアントの意向に従うという場合、クライアントのタイプによって効果に差が出てきます。自分のことをよくわかっている独立型の人にはいいですが、自分の無意識のパターンに気づかないような人の場合、表面的なセラピーだけ行い、クライアントの本質に迫ることができないで終ってしまうこともあります。

従って、クライアントのタイプによってコーチングが向いている人とそうでない人がいることでしょう。

それも含めて選択肢があるといいと思います。現在の教育、医療、ビジネスでは、指示や提案が中心のティーチング型のコミュニケーションがまだまだ一般的です。それに合う人はいいのですが、合わない独立型の人は常にストレスを感じることになるでしょう。

職場での例

*ティーチングの例

部下が失敗した後に上司が言う。「なんでそんなことになったんだ!」
「すみません。これこれこういうわけでこうなりました」
「だからそんなことやったらダメだっていつも言ってるだろ。こうすればいいんだよ」と言い、上司はしばらく説教を続ける。
「わかりました。今後は気をつけます」

*コーチングの例

「君は今回起こったことに関してどう考える?」
「私としては○○しようと思っていたのですが、つい□□になってしまい、うまくいきませんでした。反省しています」
「今後はどうすれば○○できるようになると思う?」
「他のみなさんは△△することで○○できているようですが、私の性格から考えると△△することは難しいんです」
「ならどうすればいいと思う?」
「はい。おそらく●●することならできると思うんですが」
「そうか。君がそのほうがやりやすいと言うのならしばらくそうしてみるか」
「はい。お願いします」
「いつからそれを行うんだね?」
「早速明日からやってみようと思います」

ティーチングの例の場合、それに合った人は素直に上司の言うことを聞けると思いますが、独立型の人にはきびしいと思います。例えば上司の提案がコーチングの例に出てくる△△することであった場合、それをすること自体が難しいと感じている部下にとっては、結局次回もまた同じ失敗をすることになると思います。

コーチングの例の場合、部下が自分で考え答えを出しているのでよりやる気が出てきます。また、より自分の性格に合った●●することを選んでいることも大きいです。

ティーチングを求める人にはティーチング、コーチングを希望する人にはコーチングと、選べるようになるといいですね。実は、コーチングのセッションでは、それすらも選ぶこともできます。コーチからの介入を望む人にはそうすることもあるからです。

コーチング的コミュニケーションは新しいパラダイム

コーチング的コミュニケーションが大変動時代を生き抜く上での新しいパラダイムになると言いましたが、私は、大変動時代を魚座の時代から水瓶座の時代への転換期として捉えていて、経済危機なども古いパラダイムが崩壊するプロセスとして起きていると思っています。コミュニケーションにおける古いパラダイムは日本の場合、儒教から来ていて、それが企業文化、教育、医療などに影響を与えてきていると感じています。もちろん、儒教は年配者を尊敬したりといういい面ももたらしたので、それ自体が悪いわけではありません。ただ、自ら考えたり、自分が主体となって行動を起こしていく能力を封印してもきました。水瓶座の時代では多くの人が独立し、自分で考え、自分で行動する人が増えていきます。そうした新しいタイプの人類には従来のコミュニケーション・パターンとは違うものが必要とされ、そのひとつがコーチング的コミュニケーションなのです。

経済危機をはじめとする多くの問題を解決する方法も、包括的に考えると、新しいパラダイムへの移行を促していくことだと思います。そして、コーチング的コミュニケーションは人間関係における新しいパラダイムであり、セラピーやカウンセリングの現場だけでなく、職場でのコミュニケーション、エコビレッジやNPO団体でのコミュニケーション、教育の現場でのコミュニケーションなど、あらゆる分野で実践することができます。スピリチュアルな探究においても、師弟関係などでは、ティーチング的なコミュニケーションが未だに多いと思います。ここでも、生徒が自分で答えを見つけていくコーチング的コミュニケーションが、悟りに近づく上で役立つでしょう。

ホリスティック・コーチング?

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