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フィンドホーン体験記第9章

フィンドホーン体験記第9章

トランスフォーメーション・クイズ解答

円卓の騎士のモチーフがある有名なSF映画に使われていると言いましたが、その映画とは何でしょうか?

正解は『スター・ウォーズ』です。実は、ジェダイの騎士は円卓の騎士から来ていて、エピソード1でも、丸いテーブルの周りに12人が座っているシーンが出てきます。

共同体員のインタビュー

フィンドホーンに住んでいる人たちのインタビューを特集しています。これは、1986年に行われたものなので、内容も時代背景も、すべてその時点でのことであるということを、ご了承ください。

お金

 『マリアエネルギー』の中でもお金に関して扱ったけれども、お金とスピリチュアリティーというものは、僕にとって大きなテーマだ。それは18年前から始まっていた。また、夢やビジョンを語ることは大切だけれども、同時に、システムとしてそれが現実にどう機能しているかということも、重要だと思っている。そこで、今回は、共同体の運営的側面を経理の担当者アレックスに尋ねてみた。
 この特集すべてがそうであるように、これは1986年の時点でのインタビューなので、運営的状況も、あくまでもその時のものであり、現在のものではないことをご了承いただきたい。
 

アレックス


 収入と支出について少し説明していただけますか?

アレックス
 共同体は四つの収入源から成り立っているんです。全体の50%を超える一番大きなものが、ワークショップやカンファレンスに参加する訪問者から来ています。二番目のものは共同体の事業から来ています。つまり出版、書籍販売、食品販売です。三番目が、メンバーから支払われる会費。(共同体員になった場合、最初の二年間はある一定の会費を払うことになっている)四番目は他の人々や団体からの寄付。
 支出のほうですが、主な三つのものは、まず食費、そして電気代、ガス代などのエネルギー費や電話代を含めた日常経費。最後に、メンバーに支払う給料。最初の二年間はメンバーになってもスチューデント・メンバーと呼ばれ、生活費を共同体に払うことになっているんです。これは、共同体を大学のように捉えていて、ここにいて学ぶことがたくさんあるからです。三年目に入るとそれを卒業し、スタッフ・メンバーとなります。この段階からは生活費を払う必要はなく、タダになります。さらに週10ポンドの給料が支払われます。その給料が年間四万ポンドぐらいかかるんです。


 結構かかるもんですね。やはりこのような共同体を運営していくのは大変ですね。ただ、最初の二年間お金を払わなければならないというのは、お金のない人にとっては難しいですよね。僕自身検討したけれど、外国人がイギリスの大学に行くのとさほど変わらない費用がかかる。一緒に体験週間に参加した人は、お金を払って仕事をするのはいやだと帰ってしまいましたからね。

アレックス
 それは考え方の問題ですね。一般社会の損得勘定だけで考えると、確かに辻褄が合わないかもしれません。でも、もっと深いレベルまで意識を広げると、わかってくると思います。


 ニューエイジ的な経済観というのは、必要なものはすべて提供されるということですよね。つまり、自然の法則、宇宙の法則に従って生活していれば、必要なものは与えられるはずだと。その信仰によって、ニューエイジ経済というものが成り立っているようにも思えるんですが、フィンドホーンに来る訪問者にもそれが期待されているんですか?

アレックス
 初めてここに来て体験週間を受ける人には、必要とあらば、特別に財政的援助があります。ただ体験週間を済ませ、共同体の生活や哲学に少し触れた人には、ある程度、そのような信仰、あるいは新しいお金に対する接し方を身に付けてもらいたいと思っています。実際に、お金が全然なかった人でも、何らかの形でお金を工面してやってきたという人はたくさんいます。突然スポンサーが現れたり、宝くじに当たったりと様々な奇跡が起きています。
(実際それはダーリアンが目撃している。彼が体験週間に参加した時、参加費がないからということで断念して帰ろうとした人がいた。すると、別の参加者が、自分がその人の分も負担すると申し出たのだ)


 今までに、体験週間に申し込んでお金がなかったために断られた人はいますか? お金のない人が同時にたくさん申し込んだりしたら、まさか全員に資金援助することはできないですよね。

アレックス
 お金だけの理由で断られた人というのはいないと思います。夏などの忙しい時期にスペースがないということで、秋の時期に来てくれと延期を勧められたケースはいくつかありますが、お金だけの理由で共同体の訪問を拒否された人というのはいないと思います。


 国によって収入にかなり差があると思うんですけど、その辺の考慮というのはあるんですか?

アレックス
 私たちもそのことについてはいろいろ考えました。ただ、だからといって、アメリカ人や西ドイツ人は経済的に豊かだからこの値段で、スペイン人やイギリス人はこの値段とするわけにもいきません。収入の多い人は自ら進んで寄付をすることができるわけで、我々はすべて個人の意志に任せています。実際、そのような寄付はたくさんあります。
 ヨーロッパ諸国の間での差というものは特につけていません。ただ第三世界は別です。もしそれらの国から参加希望者が現れれば、何らかの財政的援助はしたいと思います。場合によっては交通費まで払ってもいいと考えています。ただ、現実にはそれらの国からの参加希望者というのがいないんです。経済的な理由もあると思いますが、それ以前にフィンドホーンに興味を持つ人自体が少ないんです。
 私たちは宣伝というものは行いません。大切なのは、彼らのほうから引かれて来てほしいということです。だから逆に自分から引かれいないで、ただ親に言われて来たというような人の参加は、お断りすることもあります。

アラン・ワトソン

 キャラバンパークの食堂は対照的で木造だった。木目がくっきり見える壁にテーブル。オーガニックという言葉がふさわしいように、すべてに生が感じられる。ここは、ある意味で馴染みのある世界だった。僕がここ三年間体験してきた、イギリス・オルタネティブ・ワールドの匂いがぷんぷんする。髪を肩まで伸ばした男が奥のテーブルに腰掛けている。まるで60年代からワープしてきたように。
(ぶっとんでるぜ!)僕は思わず興奮して男に歩み寄った。「やあ、ヨシだ。名前は何ていうの?」
「アランだ。アラン・ワトソン」
「アランか。覚えておくよ。いい髪してるね」
「ありがとう」彼はそう言って微笑んだ。
 笑い方までクールだ。彼にはまた会ってゆっくり話がしたい。僕はそう思った。
 これは、体験週間体験記のワンシーンだ。そう、あの時のアラン・ワトソンがついに登場する。アランは僕がイメージしていた典型的なフィンドホーン共同体員だ。僕の読んだ本に載っていた写真が七十年代の全盛期のものだったこともある。当時、世界中からヒッピーが集まっていた。彼らはみなどこへ行ってしまったのだろう、というのが今回来てみて思ったことだが、アランだけは違った。長髪に髭、と当時の雰囲気をそのまま維持している。それだけではない。ブライトンのニューエイジャーたちの部屋の壁に必ず掛かっていたフィンドホーン・カレンダー、あの有名なカレンダーの制作者なのだ。

アラン
 僕はもともとスコットランドの出身で、フィンドホーンがあることなんか全然知らなかった。僕は世界を見るために旅に出たんだ。カナダにしばらく住み、南米も旅行した。インドにも行ったよ。旅の途中でフィンドホーンのことを聞いて、まさか自分の母国にそんな所があるとは、と驚いたんだ。
 旅をして思ったのは、どの国にも素晴らしい面とそうでない面があるということだ。どこがいいとはいちがいには言えない。ただ、今新しい文化が生まれつつある。ここ、フィンドホーンだけじゃなく、世界中で新しい生き方をしようとしている人たちが誕生しているんだ。それは南米の文化ともインドの文化とも欧米の文化とも違う。全く新しいものなんだ。世界を知ろうと思って外に出たんだが、最終的にさらに深い世界に母国スコットランドで出会ったというわけさ。


 ここに来てからはどんな仕事を?

アラン
 最初はクルニーヒルのキッチンでパン焼きをした。そしてその後四年ぐらいはずっと畑で働いた。あとは体験週間のフォーカライザーなど教育関係の仕事。この十月には地球ギャザリングを開く。テーマは地球のための緊急アクションだ。地球は今破壊的な方向に向かっている。今こそみんなでまとまって何か行動すべきだ。方法はわかっている。僕らに必要なのは、実行することだ。他には、バスの運転手。豆腐を作ることもある。リサイクリングの仕事。あと、フィンドホーン・自然・カレンダーも作っている。


 畑仕事で何か印象に残っていることはありますか?

アラン
 ここに来るまでは畑仕事というのはしたことがなかったんだ。カナダ、アメリカ、南米などで山の中はたくさん歩き回ったから自然との接触はとても強かったけどね。ここで変わっているのは、愛を込めて育てるということだね。野菜にも好きな野菜とそうでないのがあって、好きな野菜にはもっと気を使って育てた。毎日それらを見つめ、水を与え、一緒に瞑想して話しかけ、歌を歌ってあげた。するとそれらはとてもよく育った。あまり好きでなかった野菜にはそこまで気を使わなかった。もちろんちゃんと水をやって肥料は与えたけどね。でも、どういうわけかそれらは完全に育たないうちに死んでしまったんだ。それ以来、愛を込めるということがいかに大切かってわかってね。それからはすべての野菜に愛を注ぐようにしている。
 自然は僕たちに語りかけてくる。ある日、体験週間の畑仕事のフォーカライザーをしている時だった。畑はいくつかの区に分かれていて、それぞれ違った野菜を植えることになっていた。まずやり方を参加者に伝え、彼らはさっそく仕事に取り掛かった。僕は少し離れた場所で、肥料を入れる穴を掘っていた。その日はなぜか集中していなかった。参加者たちにもあまり意識を注いでいなかったんだ。
 しばらくするとハエが飛んできて僕の周りを旋回しはじめた。肥料用の残飯があったので、最初はそれが目当てだと思ったよ。でもハエは残飯の周りじゃなくて自分の頭の周りを飛んでいたんだ。追い払おうとしても全然動かない。構わず穴を掘り続けた。数分ぐらいすると今度は一匹のハエが目の横に止まった。いいかげんにしろと思って頭を上げハエを追い払おうと思ったら、視界に参加者たちが入ってきたんだ。よく見ると、野菜を間違った区域に植えているではないか。急いで彼らのもとに行って修正した。
 やれやれと思ってまた穴掘りに戻るとハエはいなくなっていた。その時、ハッと思ったんだ。ハエはそれを伝えるためにやってきたんだってね。


 もうすでに多くの人をインタビューしているんですが、ひとつだけ訊いていない質問があるんです。

アラン
 何?


 セックス。

アラン
 ほう。


 冗談です。ただ、男女交際については訊いてみたいです。フィンドホーンではどうなっているのかなと思ったものですから。

アラン
 おそらく、西洋世界で見られるほとんどの交際の仕方がここフィンドホーンにもあると言える。クルニーヒルはいろんな意味でカップルにとってはテストの場所にもなる。ここでは心の中に溜まっていたものがはっきりしたり、表に出ていなかった問題が浮上してきたりすることが多いから、カップルで一緒に来て別れるというケースはよくある。反対にここで生まれるカップルも多い。
 交際のタイプとなると、それは1から10まである。長年ここにいて一度も男女交際をしたことのないという人もいるし、たくさんの交際をした人もいる。クルニーヒルでは交際の機会が多い。毎週多くの訪問者がやってくる。みんな心を開いていて、今まで歩んできた人生の話をわかちあったり、抱えている問題を話し合ったりするから、当然関係が深まる。一週間ある人と交際を持ち、数ヵ月後には別の人となんていうケースもある。もちろん長く続いているカップルもいる。一人以上の人と交際するというのはほとんどうまくいかない。それは外の世界だろうとここだろうと変わらない。ゲイの人も数人いたと思う。
 もうひとつ言えることは、ここには様々なレベルの交際があることだ。肉体的レベルの交際もあれば、感情的レベルのもの、霊的、精神的レベルのもの。肉体的レベルと感情的レベルの二つが重なる時もあるし、精神的レベルを含めた三つが重なる時もある。
 僕もある女性と精神的なレベルでとても親しくなったことがある。肉体関係がなかったにも関わらず、肉体関係を持った女性よりも深いつながりを感じた。一般社会で男女が演じる役はほとんどが肉体的レベルか感情的レベル止まりだ。それを超え、肉体関係を持ちたいと思うことなく、自然と深い関係を持てたことは、僕にとって新鮮で、さらに自由になった感じだね。現在はある人と付き合っていてもう一年半ぐらいになるかな。
 とにかくここにはいろいろな形があると思う。だから他の人に訊いてみればまた違った答えが返ってくると思うよ。


 最後に、今後の抱負を聞かせてもらえませんか。ずっとここにいるつもりですか?

アラン
 現段階では、フィンドホーンにこのまま一生住んでもいいと思っている。自分の目的を達成するにはこの場所がふさわしい。ここにいることによって多くの人に影響を与えることができるからね。ここを離れて外の世界にフィンドホーンの文化を広めていくという考え方もあるけど、それはここでもある意味できることだ。ここには反対に毎週、毎月数多くの訪問者がやってくる。彼らとの接触を通して様々なことを伝えることができるし、それをその人たちが自分の町に持ってかえるんだ。あと、フィンドホーン・自然・カレンダーの制作もそうだ。今年だけで一万部売れたんだ。つまり一万軒の部屋の壁に僕の作ったカレンダーが飾られていることになる。これは大きな影響力だよ。今後も、今置かれた恵まれた環境を活かして、活動していきたいと思う。

僕にとってのフィンドホーン

 三日間の取材を終えて、僕は帰路についた。早くブライトンに帰りたい。今はそれだけだ。とにかく、一刻も早くこの体験をダーリアンやマークに伝えたい。
 さて、体験週間の一週間と取材の三日間の計十日間滞在したわけだけれども、僕にとってフィンドホーンとはどんな場所だったのだろうか。
 いろいろなことがあった。いろいろな人に会った。体験週間の参加者。デパートメンタル・ゲスト・プログラムの参加者。共同体メンバー。その多くの人の人生観や感情的な部分にも触れた。集中的だった。十日間ではとても消化することができない。
 フィンドホーンは確かに楽園だった。多くの人が言っていたニューエイジの理想郷であることは間違いない。初対面でも、まるで何年も前から知っていた親友のように受け入れてくれるオープンさ。そしてあのハグ。誰とでも心の中の深い部分をシェアーできる安心感。フィンドホーンにいるというだけで生まれる共通意識。魔法の国というけれど、確かに不思議なエネルギーが漂っていた。
 そして、ここはこれからも楽園であり続けるだろう。数多くの人がここを訪れ、僕と同じような体験をしていくことだろう。
 カノンのダンスを踊りながら。

 あれから18年経った。フィンドホーンの仲間何人かにはその後会った。デクスター、シャロン、キャロラインにはロンドンで会った。アメリカに行った時はマリアに会った。しかし日本に帰ってきてからはフィンドホーンに行ったことがある人にはほとんど会っていない。なにしろ帰国した当時は誰もいなかったのだから。知っている人さえいなかった。従って、この話も誰にもしていなかった。
 今こうして当時を振り返ってみると、懐かしい。自分自身の若さにも驚かされる。よくあんな質問ができたものだ。
 ふと、また行ってみたいと思った。
 アラン・ワトソンはまだいるだろうか。髪を伸ばしたままなのだろうか。もし彼がいれば、またキャラバンパークのキッチンで会うことだろう。彼はいつものように端のテーブルに腰掛けている。僕は彼に近づく。
 そしてこう言う。「アラン! ヨシだよ」
 彼は目を大きくさせて僕のほうを見る。
 僕は言う。「相変わらず、いい髪してるね」

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結局、長年の夢だったユートピアづくりは、現段階でもできていない。そしておそらく、今後もないだろう。僕の役割はそうじゃない。僕はあくまでも、語り部だ。

そんな語り部が、ユートピア建設の物語を書いた。『百姓レボリューション』

『百姓レボリューション』シリーズは現在多くの人に読まれ、読んだ人たちの間で、ユートピアづくりの実践が行われている。
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